七夕(たなばた) 2047年
七夕(たなばた)は、中国古代からある「星伝説」「乞巧奠(きっこうでん)」という風習と、日本古来の伝説「棚機女(たなばたつめ)」が結びついた行事です。七夕は「しちせき」とも読み、7月7日の夕方という意味があります。
2047年の七夕
日付 | 五節句 |
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2047年7月7日 | 七夕 |
2047年8月27日 | 旧暦七夕 |
七夕の由来
星伝説
昔、天帝という天空で一番えらい神様がいました。天帝には「機女(しゅくじょ)」という娘がいました。機女は神様の服を作る仕事をしていましたが、機織りの仕事ばかりする機女を心配した天帝が、働き者の牛飼いの牽牛(けんぎゅう)と引き会わせ、やがて結婚しました。すると二人は仕事をせずに一緒に遊んでばかりの生活となりました。
やがて、神様の服はボロボロになり、牽牛の牛はやせ細って病気になってしまいました。それに怒った天帝は二人を天の川の両岸に引き離しました。しかし、あまりに二人が悲しんだので、年に一度だけ七夕の夜に会うことを許しました。
織女はこと座の「ベガ」、牽牛はわし座の「アルタイル」のことで、和名では「織姫(おりひめ)」と「彦星(ひこぼし)」と呼ばれています。
乞巧奠(きっこうでん)
乞巧奠(きっこうでん)とは、牽牛と織女の願いが叶う七夕の日にあやかって、機織りや裁縫、書道、歌などの技芸上達を祈る祭りです。
棚機女(たなばたつめ)
棚機女(たなばたつめ)とは、水辺の機屋(はたや)で、7月6日に天から降り、7月7日の夕方に天に戻る水神に捧げる神聖な布を織る乙女のことです。奈良時代から、棚機女を信仰する祭事がありました。
七夕をたなばたと読むのも「棚機女」(たなばたつめ)からきています。
七夕と旧暦
旧暦の七月七日は、現在の8月頃にあたり、国立天文台では「伝統的七夕」と呼んでいます。
古い日本の風習では、旧暦の七月七日の半月の頃が七夕で、その8日後の七月十五日の満月の頃が祖霊を迎えるお盆でした。七夕はお盆の準備期間で、先祖の霊をお迎えするため心身のけがれを水で清める禊(みそぎ)の意味もありました。
明治6年以降、グレゴリオ暦が使われるようになってからは、七夕とお盆の行事としてのつながりは薄くなりましたが、現在でも、仙台の七夕まつりは8月7日を中日として華やかなお祭りが行われています。
七夕飾り
七夕の日に願いを込めて祈る風習は、すでに平安時代から行われていたようです。江戸時代になると、七夕を年中行事のひとつに定めたことから、「七夕飾り」は武家の間で盛んに行われるようになり、庶民の間にも習い事や習字などの技芸の上達を願う風習として広がっていきました。
笹竹
天にまっすぐ伸びる笹竹に短冊を結ぶのは、願い事がまっすぐ天に届きますように、という意味を込めてのことです。また、ぐんぐん伸びる笹の姿から竹は生命力の象徴ともされています。七夕の行事において、天と地をつなぐ柱という意味合いで、地面からまっすぐに笹竹を立てます。
短冊
今では、様々な願い事を短冊に書いて笹に吊るしますが、昔は歌や裁縫、染め織りなどの技芸の上達を願い、短冊に書いて笹に吊るしていました。
吹き流し
風船やくす玉に色とりどりの紙などを貼り付けたもので、裁縫が上達するよう、願いが込められた飾りです。
折り鶴
長寿や家内安全を願う飾りです。
くずかご
「くずかご」には七夕飾りを作るときに出た紙くずを入れて飾ることもあります。清潔、倹約、整理整頓の心が育まれるよう願う飾りです。
紙衣(かみごろも)
人形や着物を折り紙で作ったものです。裁縫の上達を願うほか、人形に病気や災いなどの身代わりになってもらう意味もあります。
巾着(きんちゃく)
折り紙を巾着や財布の形に折り、金運の上昇や貯蓄を願います。
提灯(ちょうちん)
折り紙で作った提灯です。織姫と彦星にあかりをさずけるための飾りです。
編み飾り
折り紙で作った網です。豊漁祈願の意味があります。
星飾り
願いが空まで届き、星が願いを叶えてくれますようにと願う飾りです。
輪つなぎ
願いが消えずにつながるように願う飾りです。また、良い人とのつながりがずっと続きますようにという願いも込められています。
七夕の習わし
そうめん
七夕にそうめんを食べる風習は、古代中国で七夕に索餅(小麦や米粉を練って棒状にしたそうめんの元祖)を食べる風習と、日本で麦の収穫祭として麦餅を作って供えた民間の風習があわさり、そうめんを食べるようになりました。
水浴び
牛や馬に水浴びさせたり、子どもが水浴びしたりするほか、道具を川で洗う、井戸をさらうなど、水で祓い清める儀式がありました。
宮中での七夕の習わし
七夕の朝には、梶の葉に歌を詠み字の上達を願う慣習がありました。
七夕の夕べには笹を二本立てた間をしめ縄でつなぎ、五色の麻苧(あさお)を吊るします。そして真菰(まこも)で編んだござを敷き、収穫物を供え、水をはった七つのたらいに映った星を愛でました。
梶の葉と里芋の夜露
里芋の葉にたまった玉のような夜露は天より授かった水として、墨をするときに用いました。その墨で梶の葉に歌を書くと、歌や字が上達するという習わしがありました。また、梶の葉は古来より神様に食物を供えるための器とされていました。
真菰(まこも)
真菰(まこも)は水辺に生える草で、夏には1~2メートルにも成長します。古くから神事に使われ、真菰で編んだござは神聖な場に敷くものとして七夕の節句に用いられました。出雲大社のしめ縄も真菰で作られています。
五色の麻苧
麻苧(あさお)とは麻の繊維から作られた糸で、悪霊が嫌うとされ古来より神事や祭事に用いられてきました。
また五色は、五行思想に基づき世界の五大要素である、木火土金水(もくかどこんすい)をそれぞれ緑、赤、黄、白、黒(紫)で表しています。宇宙の気を備えて厄除けにする古代中国の世界観が、五色の糸には込められています。
しめ縄
しめ縄で区切られた場所には「ここは清められた聖域です」という結界の意味があります。麦や野菜などの収穫物をしめ縄で囲むようにして供え、神さまをお招きしました。
庭の竪琴(たてごと)
十三弦の琴を一張、七夕の祭壇に横たえ、夜が明けるまで香を焚いて星をまつり、九枝灯(きゅうしとう)といって九本の灯台にあかりを灯し続けたそうです。