夏越の祓(なごしのはらえ) 1972年
夏越の祓(なごしのはらえ)は、半年間の厄を祓い浄め、残り半年の無事を願う神事です。701年に大宝律令で正式に定められたという古い歴史を持つ行事です。
神社からいただく紙片の形代(かたしろ)で自分の身体をなでる仕草をして、ふっと息をふきかけ身の穢れを移します。これを大祓(おおはらえ)の日に神社へ持っていき祓い浄めてもらうと、罪や穢れが祓われるといわれています。
また、神社の中に「茅の輪(ちのわ)」とよばれる茅草を束ねて作った、人の背丈よりも大きな輪が立てられることがあります。茅の輪をくぐることは「茅の輪くぐり」と呼ばれ、身が浄められ、疫病や罪が祓われるとされています。
1972年の夏越の祓
日付 | 年中行事 |
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1972年6月30日 | 夏越の祓 |
茅の輪くぐり
作法
1周目は、正面でお辞儀し、左足で茅の輪をまたぎ、左廻りで正面にもどります。
2周目は、正面でお辞儀し、右足で茅の輪をまたぎ、右廻りで正面にもどります。
3周目は、正面でお辞儀し、左足で茅の輪をまたぎ、左廻りで正面にもどり、再度お辞儀し左足で茅の輪をまたぎ参拝へ向かいます。
茅の輪くぐりは、くぐる事によって参拝者の穢れや厄災を、茅の輪に移し清めるためのものです。つまり、それを持ち帰る事は、くぐった人たちの穢れや厄災を持ち帰ることになりますので、茅の輪くぐりの茅を引き抜き、持ち帰ることは、絶対にしてはいけません。
唱え唄(となえことば)
神社により変わりますが、茅の輪くぐりを行うときに唱える唄があります。茅の輪くぐりの横に廻り方と一緒に唱え唄が掲示してあることもありますので確認してみてください。代表的な唱え唄には次のようなものがあります。
蘇民将来子孫也
「蘇民将来子孫也」(そみんしょうらいしそんなり)と唱えながら茅の輪をくぐります。これは、蘇民将来の子孫です(ので、お守りください)という意味があります。
祓へ給ひ 清め給へ
「祓へ給ひ 清め給へ 守り給ひ 幸へ給へ(はらえたまい きよめたまえ まもりたまい さきわえたまえ)」というものです。神様にお祓いとお力添えをお願いする意味があります。
水無月の なごしの祓 する人は
1周目「水無月の なごしの祓 する人は ちとせの命 のぶといふなり」、2周目「思ふ事 皆つきねとて 麻の葉を きりにきりても 祓へつるかな」、3周目「宮川の 清き流れに 禊せば 祈れることの 叶はぬはなし」というものです。1周目の唄のみのこともあります。
由来
日本の神話にはスサノオノミコトという神様が登場します。
ある日スサノオノミコトは旅の途中に一夜の宿を請いました。裕福な弟の巨旦将来(こたんしょうらい)は、スサノオノミコトの宿請いを拒みましたが、貧しい兄の蘇民将来(そみんしょうらい)は、粗末ながらに喜んでもてなしました。
スサノオノミコトが旅の帰り再度同じところを通り、蘇民将来と妻、その娘らの腰に茅の輪をつけさせました。その際「のちに疫病が流行ることがあった時には、蘇民将来の子孫と言い、茅の輪を腰につけていれば免れることができるだろう」と、言い残し立ち去りました。そして茅の輪をつけていない巨旦将来の一族は滅んでしまいました。
この神話にちなみ、各所で茅の輪くぐりが行われるようになりました。また、蘇民将来の子孫であるということを表すための蘇民将来札(そみんしょうらいふだ)を家の入口に貼る地域もあります。